エンジニアリングプラスチックと応用について
1.五大汎用エンプラ(エンジニアリングプラスチック)の紹介
①ポリカーボネート(PC)
ポリカーボネート(PC)は優れた力学的性質が特徴です。特にプラスチックの中でも最高レベルにある耐衝撃性能は、ガラスの約200倍、アクリルの30倍以上といわれており、ハンマーで叩いても割れません。この特性を活かして、バイク用ヘルメットの風防や、機動隊が使う盾などに使われています。また、透明性が高いのもこの樹脂の特徴です。透明性を活かした用途としては、光ディスクや液晶ディスプレイの透明保護カバーなどに使われます。
②ポリフェニレンエーテル(PPE)
ポリフェニレンエーテル(PPE)は難燃性が高いのが特徴です。PPEは、PPなどの樹脂とよく混ざりあってポリマーアロイを作る性質を持っています。例えばPPにPPEを混ぜる事により耐熱性・寸法安定性に優れたPP系のコンパウンドを作る事が出来ます。この様な形で高機能化された樹脂はOA機器の筐体や自動車の部品・太陽電池の素材・医療機器等幅広い分野で使用されています。
➂ポリブチレンテレフタレート(PBT)
ポリブチレンテレフタレート(PBT)は電気絶縁性・耐薬品性・成型性等に優れているのが特徴です。物性のバランスが良いことから、ガラス繊維や充填材による補強、改良効果が大きいのも特徴です。自動車の電子制御化が進む中で、需要は拡大傾向にあります。また、自動車以外にも家電の筐体・医療機器など幅広い分野で使用されています。
➃ポリアセタール(POM)
ポリアセタール(POM)は摩擦係数が低く耐久性や耐衝撃性に優れているのが特徴です。また、回復性、繰り返し疲労によるダメージを受け難い事からパソコンのキーボード・FAX・洗濯機といった家電の歯車などの可動部品に使用されています。着色をしない状態では乳白色の樹脂です。
⑤ポリアミド(PA)
ポリアミド(PA)は耐摩耗性・耐寒冷性・耐衝撃性・耐油製等に優れているのが特徴です。別名はナイロン(ナイロンはデュポン社(米)の登録商標)です。この樹脂はストッキングなど合成繊維として使われているイメージが強いのですが、近年では先に述べた特徴を活かして自動車や家電の部品などの分野でも使われます。
2.応用(PMMA/PC 2層フィルム・シート)
当社では5大汎用エンプラの中から➀ポリカーボネート(PC)を使ったフィルム・シートの生産・販売を行っています。「1.五大汎用エンプラ(エンジニアリングプラスチック)の紹介」でも記載した通りポリカーボネートは耐衝撃性・透明性に優れていますが、表面の硬度が低い弱点があります。この弱点を補う事を目的として、硬度が高く、高透明であるPMMA(ポリメチルメタクリレート)樹脂と組み合わせたフィルム・シートを製品化しています。この製品はポリカーボネートが本来持っている耐衝撃性能に加え、PMMAの硬度を兼ね備えた優れた性能を持ち合わせています。更にガラスと比較し軽い・危険な形状で割れない等の特徴が認められ、主に自動車向けのディスプレイやタッチ機能付きの内装加飾パーツ等に使われています。
樹脂単体の物性では不十分ではあるものの、別の特徴を持った素材と組み合わせることにより新たな価値をもった素材を作る事ができます。当部署では長い時間をかけて培った当社の生産技術と樹脂に関する知識をベースとして、多層押出機を使いながら開発のサポートをしたいと考えています。